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MOEのままにDRRR!!を愛でています。 シズイザに悶絶。
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※静雄が出てこないけどシズイザ
※波イザっぽい…
「ねぇ波江さん」
「…何かしら?」
事務所内の窓際に置かれた椅子の背もたれに体重をかけて座る臨也を横目に見つつ波江は答えた。
だが作業中の手を止めることは無い。
「オレって臭う?くさいかな?」
「全くもって質問の意図が分からないわ」
波江は作業する手を止めて臨也を見た。
臨也は手を鼻の近くに持っていき、においを嗅ぐ素振りを何度か繰り返した。
「はぁ…一体何なの?」
溜息をついて波江は臨也の口から紡がれた言葉の真相を知ろうとした。
「なんかさー、シズちゃんがいっつも臭い臭いって言うんだよね…」
「平和島静雄が?」
最愛の弟を痛めつけた男、平和島静雄のことを快く思ってはいない波江だったが、臨也に合わせてあまり言及せずに相槌をうった。
「毎夜風呂にだって入ってるし朝にはシャワーも浴びてるんだよ?」
「頻繁に髪を洗うとすぐに薄くなるわよ」
「それは気をつけなきゃ…って、話を曲げないでくれるかな」
体を起こすと、机に両肘をつけて指を交互に絡ませて手を組んだ。
その上に顎を乗せて臨也は真っ直ぐに波江を見た。
「いつも臭いって言われる青少年の気持ちを考えてよ」
「そんなに気になるなら香水でもつけたら?」
そう言って目の前のパソコンからネット上に溢れる香水専門店にアクセスしようとした波江だったが、臨也の言葉に行動が遮られた。
「香水つけたらそれはそれで臭くなるだろ?」
「面倒くさい男ね」
「オレは臭くない…うん」
自身に語りかけながら自分の世界へと入り込んでしまった臨也を見て波江は立ち上がった。
そして部屋の隅に行って扉を開けると、あるものを取り出して臨也の座る机の上へと置いた。
「これでもしておけば匂いなんて無くなるわよ」
「波江さん…これって…」
臨也の視線は机の上の霧吹きの形をしたものへと注がれていた。
「除菌もできるファブ●ーズよ」
「さ、流石にそれは…」
波江が取りだしたものは、テレビCMでもよく流れる、とあるメーカーの消臭剤だった。
「早くファブりなさい」
「そんな動詞初めて聞いたよ?」
「匂いが消えるって宣伝してるんだから」
「だからって自分を汚れ物みたいに扱うのって勇気いるよ…」
使うべきか使うまいか、霧吹きのボトルを手にして悩み始めた臨也。
それを見ながら、どれだけ平和島静雄のことばかり考えているのかしら、と心の中で思った波江だったが口に出すのは野暮なことのように思えたので何も言わずに自分の作業に戻った。
そして事務所をあとにするときまでファ○リーズと睨めっこを続けていた臨也に、折原臨也の中での平和島静雄の存在の大きさを垣間見て、波江は雇い主の歪んだ心を内心でせせら笑った。
終