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猛獣飼育


「ねぇシズちゃん」
何考えてんだか分からない顔で、臨也は笑いながら俺の目の前に現れた。
「心が広い俺は三秒待ってやる…三秒以内に池袋から消えなかったら、てめえの存在をこの世から抹消してやる」
「ご主人様にそんな口聞いちゃダメだって」
「…は?」
臨也の理解できない言動は今に始まったことではない。
突然現れたと思ったら、ご主人様などと意味の分からないことを言いだした臨也を睨みつけた。
「これ、すっごくシズちゃんに似合うと思ったんだ」
そう言いながら臨也はコートのポケットから何かを取りだして掲げるように見せた。
日光を反射して金具が光るそれは、赤い色をした革製の首輪だった。
「一応聞いておくがそれをどうしようってんだ…?」
「見た瞬間にシズちゃんにつけなきゃって思って買ってきた!」
「っ…そんな思考が二度とできないように頭叩き割ってやろうか…」
「せっかく買ったのにー」
不服そうに口を尖らせているが、男がそんな仕草をしたところで可愛くなんかない。
そう、男が可愛く見えるはずないのだ。

しかし、静雄は自分の視界から得る感情を否定しながら、吸い寄せられるようにして臨也の耳たぶを唇で挟むと舌を這わせた。

「ひゃ…っ!」
舌で耳全体を舐めるようにしてやると、臨也の肩がピクリと動いた。
見えないところで満足そうに笑いながら、耳元でささやく。
「飼うっていうならちゃんと俺のことしつけられるっていうのか?ペットに簡単にキスなんかされて…」
「…っ、シズちゃん!」
「簡単に飼われる気はないからな?」

自称飼い主と猛獣との間に起こった主導権争い。
その行方は当事者の二人だけが知る未来であった。

 

 


このあと首輪は別のことに使われるわけですね、分かります。勿論R18ですね、分かります。

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