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小規模レストラン

※いちお『小規模クレーター』の続きです



「じゃ、よろしくね静雄!」
笑顔で手を振って新羅は平和島静雄の住む家のドアを閉めた。
「…ったく」
目覚めたばかりで整えていない髪をかきむしりながら静雄は閉められたドアを施錠した。
それから後ろを振り返ると、つい先ほど新羅の連れてきた5歳のおりはらいざやの存在が目に入る。
「どうすりゃいいんだ?」
先ほど泣かせたばかりで気まずい思いが渦巻く静雄の心中とは裏腹に、いざやはにっこりと笑って静雄を見上げる。
その笑顔からあふれる可愛さに静雄の心は鷲づかみにされた。
思わずわきあがる気持ちを唾と一緒にゴクリと飲み干し、口を開く。
「あー…なんか食べるか?」
自分は起きたばかりで何も口にしていないため空腹だが、いざやの腹の空き具合は分からない。
食べられるようだったら共に朝食をとろうと疑問を投げかけた。
「しずちゃんも食べるの?」
「シ、シズちゃん…?」
「へいわじましずおっていう名前なんだよね?だからしずちゃん!」
そのネーミングセンスにノミ蟲の存在を感じたが、相手は5歳児である。
特別イヤだという思いも沸かなかったので好きに呼ばせることにした。
「いざやの好きなものは何だ?」
静雄の後ろにピッタリついてキッチンにたどりついたいざやに、静雄は好物を聞いた。
「えへへー」
「?」
笑顔を浮かべているだけでいざやは答えようとしない。
まぁいいか適当に作ろうと思ったところで笑いながらいざやは口を大きく開けて言った。
「しずちゃん!」
「何だ?」
「だから、いざやはしずちゃんが好き!」
好意を寄せられて悪い気はしない、たとえそれが嫌いなノミ蟲の名前を語る5歳児であってもだ。
好きな食べ物を聞いたつもりだったが、いざやの中では好きな人を聞いたことに変換されていたらしい。
キラキラと瞳を輝かせながら自分を見上げるいざやの頭を静雄は撫でた。
「今からメシ作るから、そのへん座って待ってろ」
「お手伝いする?」
「大丈夫だ」
わざわざ手伝いを申し出るとは、なかなかにデキた子供のようだ。
静雄は冷蔵庫から惣菜のハンバーグを取り出すと、それを電子レンジに入れて温めた。
そして卵を2つ取り出すと黄身が割れないように気をつけながら目玉焼きを作った。
一緒にハムも軽く火に通して盛り付ける。
「飲み物は牛乳でいいか…」
レンジからハンバーグを取りだし今度は残り物の白米を温める。
一通り皿を並べると、自分の箸と一緒にいざや用にフォークを食器棚から取り出した。
「わぁ、ハンバーグ!」
「好きなのか?」
「うん!」
「なら全部食べていいぞ」
いざやの笑顔につられて自身も口元に笑みを浮かべ、静雄はいざやの前にハンバーグの皿を置いた。
「いただきまーす!」
嬉しそうにいざやはハンバーグをフォークで一刺しして持ち上げると食べ始めた。
その豪快だが可愛らしい食べ方を見ながら、静雄も手を合わせると目の前に置かれた朝食を食べ始めた。
「美味しいか?」
「もぐもぐ…うん、しずちゃん料理上手!」
「…それは昨日スーパーで買ってきたやつ温めただけなんだけどな…」
静雄は口を動かしながらもいざやを見つめた。
ハンバーグを食べる可愛いさは別人にしか思えないが、やはり名乗るだけあって臨也にどことなく似ている。

臨也といざやの関係は何なんだ…?

答えの出ない疑問に悩み始めた静雄だったが、一つの結論に達したことで思考を止めた。
とりあえず臨也に聞いてみればいいんじゃないか…と。
更にノミ蟲であろうと情報屋として立ちまわっているだけあって、臨也本人との関係性はなくても、いざやについての情報が手に入るかもしれない。
そうと決まれば、今から臨也のところに行くしかない…。
朝食を食べ終えた静雄は、ハンバーグを食べ終えたいざやの食器も一緒にキッチンへと片付けた。
いざやにはテレビを見せながら、静雄はシャワーを浴びたり着替えて外出する準備をする。
着替え終わった静雄が部屋から出るとシャツの裾を引っ張られたので下に目をやった。
「どうした?」
テレビを見ていたはずのいざやが静雄のそばに来ていた。
静雄を見上げるいざやの目は、どこかの小型犬を彷彿させるような潤んだ瞳だった。
置いていかれることを危惧するその視線に気がついた静雄はサングラスをかけながらいざやに言った。
「お前も一緒に行くか?」
元より一人で留守番などさせる気はなかったのだが、そう聞くといざやは首を大きく縦に振った。
「なら行くぞ」
部屋の鍵をしめて、徒歩で新宿へと向かうべく静雄といざやは外へ出た。
歩幅の違いすぎるいざやを見かね、先の反省を活かして頭上に気をつけながら肩車をして静雄は新宿までの道のりを進んでいった。

 

 


 …続いてしまった。しかし好評で嬉しいです、私がんばる!
既にタイトルが思いつきません…続けようとして『小規模シリーズ』っぽくしたのはいいとして、何故私1話目にそんなタイトルつけたし…センスがないのは重々承知です…。

 

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