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日常の収束


「あー…イライラする…」
静雄は池袋の街を歩きながら呟いた。
コンビニの前に喫煙所を見つけると胸元のポケットから煙草とライターを取り出し、煙を肺まで吸い込むとゆっくりと吐き出した。
白い煙が空気中に霧散し消えていく。
「あ」
そのとき静雄の頭にあることがよぎった。
何も起きないという日常はいいことであるにも関わらず、何故かイライラしっぱなしの自分の心をおさめる方法を思いついたのだ。
「ちょっと新宿行って臨也でもぶん殴ってくるか…」
それをすればイライラがおさまると自分自身に言い聞かせるようにして呟くと、持っていた煙草を灰皿に押し付けて静雄は歩き出した。

新宿と池袋は電車で5分という比較的近い距離にある。
勿論それは歩けない距離ではなく、静雄はその身長に見合った長い足で数十分とたたないうちに新宿へとたどり着いた。
勘に任せて歩こうとするも臨也の気配を察知できなかった静雄は、とりあえず臨也の構える事務所へと向かうことにした。
事務所の入っている建物へと向かうと、見えてきたその建物の前に見知った姿を発見した。
「ちょうどいい」
視界に入ったファーのついている黒いコートを着た男に向かって叫ぶ。
「いーざーやー!ちょっと殴られろぉー」
すると振りかえった臨也は逃げるでもなく静雄の方へと向かって走ってきた。
いつもなら全力で殺し合う鬼ごっこにもつれ込むため、その予想外の行動に驚きつつも、静雄はこぶしを握り臨也を迎え討とうとする。
「シズちゃん走って!」
だがこぶしを作った手首を簡単につかまれ、そのまま引っ張られ臨也に引きずられるようにして静雄は足を動かしていた。
引っ張られるがままに走っていた静雄だったが、ハッとして自分の手首をつかむ臨也に怒鳴った。
「てめえを殴るために来たんだよ、離せ!」
「そんなこと言わずにさぁ…きっともう仲間だって思われちゃったからシズちゃんも狙われるよ?」
何のことだ、そう言いかけて静雄は自分達の走ってきた後ろから聞こえてくる声に気がついた。
「折原待てー!」
首だけを後ろに回して振りかえると、明らかにカタギでは無い男達が死に物狂いで自分達を追いかけてきていた。
静雄は臨也のせいで過去に何度も厄介事に巻き込まれているが、今現在も厄介事に巻き込まれている最中なのだと実感すると己の駄目さ加減に内心呆れかえった。
「それで、何で追われてるんだ」
歩幅を広くすると臨也の横に並んで2人走りながら静雄は尋ねた。
「えー、とある組織の組長さんが男色だったのが原因かなぁ?」
「は?」
「迫られたからゴメンナサイ、ってお断りしたらキレられちゃったんだ!今まで懇意にしてくれてたのはオレのこと手に入れることができるからだと思ってたみたい」
どうやらホモの組長に臨也は気に入られたようだ、とりあえずそのことを認識した静雄は胸にうずまく黒い感情が生まれるのを感じた。
「ならてめえは悪くないんだな?」
走りながら臨也に向かって疑問を投げかける。
「勿論!なのに組長に恥かかせたって部下の人達が怒りだしちゃって追いかけられてるわけ」
「…ちょっと待ってろ」
「え?」
静雄は足を止めて路地の真ん中に立ちつくした。
手をつかんでいた臨也もつられるようにして足を止める。
「おー、来た来た」
そう言いながら不敵に笑う静雄の視線は振り返った後ろの路地に向けられた。
曲がり角の先から2人のいる路地に現れた男達も笑みを浮かべていた。
それは逃げるのを諦めたと思われる2人に落とし前をようやくつけることができるという喜びに満ちたものだった。
ジリジリと2人との距離を詰めていく男達だったが、そのうちの1人が違和感に気付いた。
「何でてめえ笑ってるんだ?気持ち悪い」
大勢で囲まれて自分がこれからどういう処遇にあうのか想像するのはたやすいように思える。
だが静雄の顔には恐怖の色が一切なく、むしろやる気に満ちあふれているとさえ感じた。
「ふざけんなよ…!」
静雄の様子に逆上し1人の男が殴りかかってきた。
だがあっさりと顔にリーチの長い腕でこぶしを叩きこんだ静雄の前にあっさりと男は崩れ落ちた。
その様子を見ていた男達はざわついた。
だが数で勝負すれば負けることはないと一斉に静雄へと飛びかかっていった。
それを見て臨也は一言。
「新宿にいるから平和島静雄を知らないなんて可哀想に…情報は大事だよ?」
すぐに静雄と男達の決着はついた。
身に付けたバーテン服に汚れはあるものの、静雄は無傷でその場に立っていた。
男達は息はあるものの地面にひれ伏すようにして倒れているものがほとんどだった。
「なんなんだてめえ…」
かろうじて喋る元気がある男が静雄に向かって声をかけた。
「何でもねーよ、ただ二度とこいつに近づくな」
そう言うと静雄は殴っても発散しきれなかったイライラと、殴るのをやめて手持無沙汰になった手のやり場として、そばにいた臨也を抱き締めた。
「な…っ!」
突然の静雄の行動に驚いた臨也だったが、その腕を振り払うことはしない。
それを見た男は地面へと倒れながら呟いた。
「組長…あなたの男にはすでに男がいました…」
夕陽を背にたたずむ2人の影は、男達の瞳に美しいものとして焼きついた。

じきに男達の元に情報として池袋と新宿の男の関係情報が入ってくることになり、その情報を流した臨也は静雄との恋愛関係という非日常を楽しんでいるのだった。

 


 

ゴチャゴチャしていて分かりにくくて猛省…。
シズイザがくっついた非日常が日常に変わった後に、どんな非日常が再び訪れるのか…書きたい書きたい(←妄想だけはいっぱいです)

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DRRR!!にハマって文字書いたり落書きしたり…。
シズイザが正義すぎてヤバい。
原作は8巻まで読破。

 

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