幽静臨です。
途中から抜粋してみました。ここにR指定部分は載せてないですが、CP表記が3人な時点で3Pです…エロですギャグです…。
(略)
「ん、美味い」
「美味しいです…」
同じ兄弟でありながら、まずケーキのスポンジ部分にフォークを刺した静雄と、上に乗ったいちごにフォークを刺した幽の違いを面白いものだと臨也は観察する。
長い期間を同じ環境で過ごしている兄弟は食べ方が似るものだが、珍しいことに平和島兄弟は異なるらしい…ケーキ一つだけの観察結果でしかあるが。
片手でティーカップを持ち上げ、優雅に紅茶をたしなみながら、臨也は目の前の静雄を見つめていた。
静雄がケーキを食べ進めていくのに比例して、上がりそうになる口角を抑えてティーカップで隠す。
ケーキの上に乗ったいちごに静雄が手をつけようとしたのを見て臨也はこれから起こるであろう楽しい出来事を思い描き口を三日月型に歪めた。
だが臨也の期待は静雄の一言に裏切られることとなった。
「幽、いちご好きだろ?食べるか?」
「!?」
その一言に臨也は焦った。静雄相手に画策していたことが全て無駄になろうとしていたからだ。
静雄の一言に幽は首を縦に振ると、フォークを静雄のケーキの上に乗ったいちごへと突き刺した。
そして流れるような動作でいちごを自分の口へと運ぶ。
「ちょ、待って!」
慌てて臨也はその行動を止めようとしたが、幽が止まることはなくフォークに刺さっていたいちごは口の中へとその姿を消していた。
「…っあー」
ティーカップを音をたてて机に置いて、思わず臨也は頭を抱えた。
疑うような眼差しでその様子を見た静雄は疑問を口にした。
「どういうことだ、臨也?」
溜息をつくと椅子の背もたれにもたれかかり臨也は天を仰ぎながら静雄の疑問に答えた。
「シズちゃんのいちごにちょっと細工をね…でも幽君が食べちゃった!」
「なんだと?幽、口から出せ!」
「…もう無い」
慌てる様子もなく、幽は淡々と事実を述べる。
すると当人である幽ではなく、兄である静雄が臨也へ怒りを爆発させた。
「ふざけんなよ…!殺される覚悟はできてるんだろうなぁ、イザヤ君よぉ?」
「やだなぁ…弟思いのシズちゃん、落ち着いてよ」
「…っ、それで何の薬を盛ったんだ」
怒りで顔面に鬼神のような表情を浮かべながら静雄は臨也に尋ねる。
手に持ったスプーンがこめられた力に耐えきれず折れ曲がっていることから怒りの強さが見てとれる。
その怒りを増長させることになりそうだとは思いながらも臨也は薬について口にした。
「それが分からないんだよね」
「は?」
「だからシズちゃんで確かめようと思ったのに…何で幽君にいちごあげるかなぁ」
「てめえな…!」
「でも食べちゃったからには体調に変化があったら教えてほしいな、幽君」
「いい加減にしろよ、いーざーやー!」
ショートケーキのいちごに仕込んだのは、とある筋から流れてきた薬だった。
効能などは一切分からないものだったが裏社会で高値で取引されていたもので何か凄い薬であることは間違いなかった。
薬の効果を知るためにそのうちの少しを実験的に静雄に一服盛ったのだが、予想外なことながら幽が口にしてしまったことに臨也は少なからず内に沸き上がった焦燥感を押しとどめていた。
家に招いてもらい静雄が薬の入っている方を、自分は薬の入っていない方のケーキを食べる予定が、自分の代わりに幽が薬の入っていないケーキを食べることになっただけで静雄が薬を口にする計画は成功するはずだったのに。偶然は臨也のことを愛してはくれなかったようだ。
シズちゃん相手なら死んでもいいから致死性の薬だったところで構わないんだけど…シズちゃん以外の人間がどうにかなっちゃったら後味悪いなぁ…と考えながらも目の前の静雄には余裕そうな笑みを浮かべた。
「いーざーやー君、幽に何かあったらどうするんだ?」
「薬の効能を知るためには何かがあってほしいけど、シズちゃんでない人に何かあったら困るなぁ…ごめんね幽君」
「ヘラヘラ笑いやがって、反省してねーだろ!」
薬を飲んでしまった幽は、もしかしたら自分に危機が迫っているかもしれない状況にも関わらず、慌てることなくただ目の前で言い争いを始めた兄とその友人と思われる男のやり取りをただ眺めているだけだった。
「…っ!」
だが突然体に不調を感じた幽は椅子に座ったまま前かがみになった。
「!幽っ」
「え、幽君?」
そして心配して近寄った二人をよそに幽は上体を起こすと、突然自分のズボンのベルトに手をかけた。
「幽…?」
「えぇっ!?」
頭に疑問符を浮かべながら静雄と臨也が見ているにも関わらず、幽はそのままベルトを外すとズボンをおろした。
続
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