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MOEのままにDRRR!!を愛でています。 シズイザに悶絶。
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シズイザです。
冒頭を抜粋しました。ひたすらにドンペリの説明…。
池袋の下町にある酒店の前で一人の男が店の前で立ち止まっていた。
その目に留まっていたのはショーケースに入った一本の酒。ドンペリニョンだった。
通称ドンペリと呼ばれているそれは、水商売等においてとても高級な酒であるという認識がされている。ドンペリの注文が客から入ると店中の従業員がテーブルに集まり盛り上がるのが夜の店での通例だ。
店先に置かれたドンペリを眺めながら男…平和島静雄は、くわえていた煙草を携帯灰皿へと入れて火を消すとそれをポケットにしまった。
「相変わらず高いな…」
酒瓶の前に置かれた値段表のゼロの数を数えて静雄は溜息をついた。
ドンペリにも種類があるが、そこに置かれていたのはロゼ。ピンクの愛称で呼ばれるそれはドンペリの中でも高級なものだった。
酒店の前を通りかかって仕事終わりに一杯、家でたしなもうかと思った静雄だったが、店頭におかれた借金の取り立てに入る風俗店くらいでしか見かけないドンペリのロゼに思わず目を奪われていた。
勿論自分で買ってわざわざ飲むほど金銭に余裕はない。
そこで視線を外すと缶のたくさん並んだコーナーに目を向けた。
「やぁ、シズちゃん」
だが聞き覚えのある声に思わず声のした方へ顔を向ける。
するとにこやかな表情を携えた男がヒラヒラと手を振っていた。
「久しぶりだね」
その姿を認識した瞬間静雄は口角をつりあげた。
そしてこぶしを強く握りながら距離をおいてたたずむ男を見下ろした。
「いーざーやーくーん」
「そんなに愛をこめて名前を呼ばれても困るなぁ」
間延びした声で名前が呼ばれたことに苦笑しながら臨也は肩をすくめてみせた。
折原臨也。静雄の高校時代の同級生であるが、気が合わないもの同士衝突ばかりしている。
「なんで池袋にいるのかなー?」
苛立ちが浮かびそうになる顔に無理矢理笑みをはりつける。
「教えてほしいの?そんなにオレのことが知りたいの?」
だが臨也は楽しそうに微笑みながら明確な回答はせずに静雄を更に苛立たせる回答をした。
「なわけねーだろ!」
その答えに対して体をおさえられず暴力をふるおうとした静雄だったが、手に持っていたものを掲げて口を開いた臨也を見てその力を抑え込んだ。
「ちょ、待ってよシズちゃん、これ見て」
臨也の手の中にかかえられた高級そうな箱。見るからに中には高級なものが入っているのが分かる出で立ちだ。
「何だそれ?」
箱を目にした静雄は疑問符を頭に浮かべた。
よく見ると、その黒い箱は金箔で装飾がされており、見覚えのあるワッペンに王冠がついたような形の装飾までもがされていた。
静雄は疑問を口にしようと呟いた。
「もしかして…」
「ピンポーン、丁度今見てたでしょ?ドンペリニョン!」
臨也が手にしていたのはドンペリの入った箱だった。箱は高級な正規品である証である。
「何で臨也がそんなもの持ってるんだよ」
そう言いつつも臨也が裏で繋がっている連中や仕事を考えればドンペリの一本や二本余裕で買えるだろうし、何かの機会にもらうこともできそうだと静雄は思った。
「そんなことより見てよ」
自分の疑問の声を無視されたことに苛立ちつつも、臨也に近づいて開けた箱の中身を見る。
中には酒瓶が丁重におさめられており、ラベルからもドンペリの高級さがにじみ出ているように感じられた。
「これが、どうかしたのか?」
「やだなぁ、シズちゃんってバカ?知ってたけどね!」
「うるせぇノミ蟲」
回答が得られずに自分が馬鹿にされたことで静雄に怒りが蓄積した。
だがそれを気にせずに臨也は話し始める。
「ラベルちゃんと見てよ」
「?」
「…シズちゃんゴールド知らない?」
「ゴールド…」
見ると言われた通りラベルには金色のインクで模様が描かれておりふたの部分にも金色の包装がされていて、先ほど見ていた酒店におかれたロゼとは違っていた。
更に静雄はラベルに書かれた年代が二十年以上前のものであることに気がつき、その西暦に指を這わせた。
「そうそう、生まれた年のを探してきたよ」
「へぇ…」
「ゴールドってロゼの何倍も値段するし、高いのに本数ないから全然手に入らないんだよ…予約待ちで五年以上待ってるのに皆手に入らないからね」
とりあえず目の前のドンペリが秀逸なものであることを理解した静雄は思わず口内に過剰に分泌されだした唾液をゴクリと飲み込んだ。
静雄の喉仏が動くのを見逃さなかった臨也は開いていた箱をとじると微笑みながら口を開いた。
「これ飲みたいからシズちゃん家に行こう」