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リング×リング


「じゃあね、シズちゃん」
運命とでも言うべきなのか、待ち合わせをしたわけでもないのに池袋で出会い、いつものように喧嘩になる前にシズちゃんの前から姿を消そうと身をひるがえす。
だが自分の名前を叫びながら追いかけてくるであろう彼はいつもと様子が違っていた。
何かを考えるようにしてこちらをじっと見つめる静雄に、気分が悪くなった臨也は疑問を口にした。
「シズちゃーん?どうかしちゃったの?」
手をヒラヒラと静雄の顔の前で振ると、その手首を強い力でつかまれた。
「…っ、痛い痛い、突然酷いな…離してよ」
今までにない不思議な態度は自分をつかまえるための罠だったかと思い、いつでも応戦できるようにつかまれていない方の手でコートの中のナイフの存在を確認した。
だが見上げた静雄の口からつむがれたのは予想だにしない言葉だった。
「何でてめえ指輪なんてしてるんだ?」
「え…?」
確かに自分は両手の人差し指に銀製の指輪をしている。
だがそれを今更に聞かれるとは思いもよらなかった。
「うーん…だってアクセサリーつけたりするでしょ?」
「指輪って邪魔だろ」
「そんなことないよー」
自分のしている指輪に興味を持ちじっとそれを見つめる静雄に、臨也は思いついたことを口にした。あくまで気まぐれだ。
「ひとつあげるよシズちゃん」
「は?」
「高いんだよ、ちゃんとした銀製だしね」
高いという言葉に反応したのか、ゲンキンにも静雄は指輪を受け取る心持ちになったようで、臨也の手首を離した。
手が解放された臨也は右手の人差し指から指輪を外すとそれを静雄の右手の人差指へと通した。
しかし指の根元まで指輪は入らずに、第二関節のところで止まってしまった。
「ん?」
「あぁ?」
「…シズちゃんってばオレより指太いんだね」
自分と同じ右手の人差指であるにも関わらず指輪が入らないことに、臨也は興味深そうに静雄の指を眺めた。
「てめえが細いだけだろ」
そう言うと静雄は第二関節までしか入らなかった指輪を自分の指から抜き、穴を広げようと指輪に手をかけた。
「ストップ!」
流石に見かねて、その行動を慌てて止めた。
「何やってるのシズちゃん、壊れちゃうよ」
銀はやわい金属だ、常人どころか静雄の力をくわえたら一瞬で壊れてしまうのが目に見えていた。
「入らねぇから穴広げようと」
情事のときに言われたら酷く卑猥な台詞だと頭の片隅で思いつつも、今現在の状況におけるその台詞に思わず溜息をついた。
「なら他の指にすればいいよ」
当然考えつくことであるのに、静雄は今知ったとばかりに他の指に指輪を通し始めた。
シズちゃん…やっぱりバカだったんだ。
「お、うまく入った」
その言葉に、溜息をつきながら伏せた視線を静雄へと戻した。
そして再び思う、シズちゃんはバカだ…と。
「これもらっておくからな」
「え、いいの…?」
「何がだ?返せとか言うなよ、こんなに右手の薬指にピッタリなのに」

再び溜息が勝手に口から漏れた。
薬指に指輪をすることは世間において、意味を持つ行動である。
左手にしたら既婚者であること、右手にしていたら婚約していたり恋人がいるといったことを示す。
指輪を身につけるのが好きな人物でも、指輪をすることに意味を持つ薬指はあけておくのが定石だ。
それを知ってか知らずか…多分知らないのだろう、静雄は臨也のあげた指輪を右手の薬指にして嬉しがっている。
これではまるで、静雄は自分…折原臨也という恋人がいることをアピールしている状態である。
伝えるべきかと思いつつも、喧嘩が勃発せずに丸くおさまっている今の状況を壊したくはないと、臨也は足早にその場を去ることにした。
「それはあげるから、指輪が大して邪魔にならないことを身をもって体験してね」
「二度と池袋に来るなよ!」
「池袋という街がオレを愛してくれる限りは聞けない注文だね」
指輪をしていない右手でピースサインを作って静雄に向けると、背を向けて池袋の雑踏に身を投じた。
静雄は指輪をもらったことで怒りがおさまったのか、しつこく追いかけてくることはなかった。

 


≪聞いた?あの平和島静雄がだよ≫
≪ちょ、相手誰だし≫
≪指輪してるんだって…右手の薬指に!≫
≪婚約まで済んでるのかなぁ…≫
…ここのところ、池袋はとある噂で持ちきりだった。
それは平和島静雄に恋人ができた、という噂であった。
本人の知らないところで急速に広まったその噂は、静雄の弟である幽の耳にも入っていた。

「幽!」
「久しぶり兄さん」
「どうしたんだ、わざわざ連絡くれるなんて」
「いや、噂を聞いたから…」
池袋が静雄の噂であふれている頃、池袋の街角で静雄と幽は待ち合わせをしていた。
多忙な弟が会いたいと連絡をしてくることは珍しく、弟の休憩にあわせて静雄も休みをとった。
「噂?」
「うん、兄さんおめでとう」
「…何がだ?」
弟の口から紡がれたのは祝福の言葉。
身に覚えのないその
言葉に、静雄は不思議そうな表情を作った。
「恋人いたんだね」
「!?」
「結婚式することになったら呼んで…その日はオフにするから」
静雄のしている指輪を見て、兄に恋人ができた噂が真実であると悟った幽は淡々と言葉を紡ぐ。
しかし幽の言うことが全く理解できない静雄は眉をしかめながら疑問を口にした。
「何で俺が結婚するんだ?」
「兄さんその指輪…」
「この指輪がどうかしたのか…?」

そこで静雄は右手の薬指に指輪をすることの意味を幽から学んだ。
「右手にはそんな意味があるのか!?左手の薬指は知ってたが…」
そして大激怒を内に抑えきれない静雄は叫ぶ。
「いーざーやー!!」
裏道に入ると、獣の嗅覚とも言うべき鋭さで臨也の姿をとらえる。
「わっ、シズちゃん!」
「俺はお前の婚約者でも恋人でも無い…知っててそのままにしただろ!」
力をこめて握りしめた道路標識を地面から引き抜くと、静雄は臨也に向かって走り出す。
「やだなぁ…シズちゃん怖いー」
「いーざーやぁー!」

この前指輪をあげたときみたいな変な態度とられるより、こうやって追いかけられる方が落ち着くなんて…これが日常になっているのか。
逃げなきゃ殺されかねないのに、その状況を楽しんでる異常っぷりが日常とは自分自身が面白い。折原臨也もまだまだ捨てたものではないかもしれない。

互いの胸に渦巻く思いは違えど、今日も池袋で2人の男による大規模な喧嘩が勃発する。

 

 


視点…練習しようとするけれどその度にこんがらがる私どんまい。
シズイザが好きだ…だが幽静も好きだ←←
静雄と臨也はもう結婚すればいいよ。

 

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mai
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女性
自己紹介:
DRRR!!にハマって文字書いたり落書きしたり…。
シズイザが正義すぎてヤバい。
原作は8巻まで読破。

 

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